| 中国でサッカーのアジア杯が開かれ、日本は激闘を重ねて、ついに決勝進出を果たしました。対戦相手は中国。 これまでの試合は、重慶、済南で日本チームはブーイングの嵐の中で勝利の駒を進めてきました。観客の99.9%が日本の相手チームの味方。というよりも、観客はほとんどすべて日本の敵。あらゆる場面で日本を侮蔑することばと声の嵐をあびせ続けました。試合を見ていて、不愉快でした。
なぜここまでのことをするのか。ニュースのインタビューを聞くと、日本の侵略戦争に対する批判、尖閣の帰属権に対する反発、小泉首相の靖国神社参拝に対する非難など、政治的な反発のあらわれらしい。中国における歴史教育の影響もあるでしょうし、特に重慶が、戦時下、日本軍によって徹底的に攻撃された特殊な地だったということもありましょう。しかし、あそこまで、「反日」さらには「抗日」にまで至ろうとするについては、戦後、日本政府が、中国、朝鮮をはじめアジア諸国に対して、きちんとした総括、反省、謝罪、対応を怠ってきたツケがこういう形をとって噴出したのではないでしょうか。 そうした原因になっているねっこの問題を見ずに、中国はけしからん、という反民族感情をあおって、ナショナリズムを醸成しようという動きこそが危険です。
若者たちは、中国はけしからん、と言い始めるでしょう。マスコミもそれをあおるでしょう。そして、政治家はそれを巧みに利用するのです。 そこで、歪められた愛国主義が登場することになります。そして、憲法9条の排除、軍隊の強化、さらには徴兵制への道も用意されかねません。
スポーツは大好きですが、なぜナショナリズムの昂揚に利用されるのか。なぜ国別でなければならないのか。なぜオリンピックは国旗と国歌なのか。メダルの数を国別に競う必要がどこにあるのか。
日本対中国の決勝戦。ブーイングの嵐は仕方がありません。アウェイ(相手国の地)でやる試合なのですから。正々堂々と戦い終わって、お互いの健闘を称え合う、そんな当たり前のことを期待したいです。
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