| しんこさんの絵に高い値がついている、と驚いて書いてしまいましたが、本当に言いたかったのはそんなことではありません。
彼女の絵、色づかいが独特です。音楽で言えばほんの一音付加されているために生ずる不協和音のような色合いです。普通は邪魔とされる不協和音を醸す一音があるために、複雑で拡がりのある奥行きのようなものが表現されている感じなのです。
ビルが建ち並ぶ風景をやや高いところから描いた絵がありました。一つのビルの屋上に女の人が眠っています。そのビル群、遠近法に則って描かれているのですが、正しい遠近法ではないのです。正しいというのも変だけど、ふつうは補助線を引けばすべての線はバニッングポイントで交わる筈なんだけど、それが遠近法の法則から部分的にあえて外してある。建物の輪郭など、まっすぐな筈の線が斜めになっている。その妙な居心地の悪さが、何だか不思議な魅力になって惹きつけられてしまう。そんな感じでしょうか。
こんなことを今更書いても、もう個展は終わっちゃいましたね。見そびれた人は上海でどうぞ、というわけにもいかないか。
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