| モロ先生 遅くなりましたが、11月16日の小川洋子さんが出られたトーク・イベントの様子を少しお知らせします。
「ことばの贈り物」と言う題で、アメリカの作家レベッカ・ブラウンさんと小川洋子さん、そしてお二人の作品を両方翻訳している柴田元幸さんの進行と通訳で行われました。小川さんとレベッカさんはお互いに惹かれあい、同じような傾向、文体を持つ作家だそうです。私はアメリカ文学については無知なのでレベッカさんについては何も知らないし、柴田さんについても知りませんでした。
小川洋子さんは私が今までに会ったことも見たことも無いようなタイプの女性でした。黙っていらっしゃる時は優しそうな中に冷徹ともいえるような聡明さが窺えます。お話しするときはとても楽しそうで、ニコニコしてほんとうに可愛らしいお顔でした。
レベッカさんが英語で話すのを柴田さんが日本語に通訳して対談が進むので、(日本語はもう一人の若い女性が逐次レベッカさんに通訳していました)小川さんのトークの時間は少なかったのですが、的確な答えをすぐに出されるのには感心しました。
小川さんが作品を書き出すときは、「まず或る場面が生々しく頭の中に浮かんでくる」そうです。「それを言葉にしていくのは、試行錯誤で大変だが、やはり自分の中では言葉に対する信頼感がありどうしても言葉で書かずにはいられない」そうです。また「言葉には魔法がある」ともおっしゃっていました。書いているうちにどんどん物語が思わぬ方向に進んでいくこともよくあるそうです。レベッカさんも同意見でした。
現在の恐ろしいことばかり起こる状況をどう思うかというような、聴衆からの質問に対して、金光学園の講演会『文学の現場から』のなかにあった、「言葉にできないくらいうれしいとか、言葉にできないぐらい悲しい。そういう人間の言葉にできない部分を言葉で表現しているのが小説ですので、これからもそういう作品を作っていきたい」と熱く語っていらっしゃいました。
すごく濃い内容と時間でしたが私の表現力ではすべてお伝えできなくて残念です。bunkamuraのホームページ等で報告があるかとおもうのですが、まだのようです。何か出たらまたお知らせします。
当日お土産にもらったにカードに三人の「ひとこと」が自筆で書かれていたのですが、小川洋子さんの言葉をお伝えします。 あるもの みな美しく おこること みなよし 小川洋子
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