| 今朝は雨が降っていた。傘を差し家を出て駅に向かうふと見ると両手に松葉杖を持ち雨宿りをしている青年がいた。青年はスーツを着ており左足に靴はなく包帯がグルグルと巻いてあった。
彼を見て10歩ほど通り過ぎたところで立ち止まり時計とにらめっこ。後ろを振り返って少し悩む。出勤中のサラリーマン達は彼を知ってか通りこしていく。
「遅刻だな・・・」 それから引き返し青年に「大変ですね。いきましょうか」と声をかけて傘に入れる素振りをすると「いいです いいです」と断られたが「遠慮しないで。いきましょう。」と僕。すると「すいません。でも方向が反対ゃ・・・」と言われたが「大丈夫。大丈夫」と半場強引に。
青年はスーツを雨で濡らしていた。五反田駅から傘も差さずに松葉杖できたのだろう。必死に松葉杖で歩く青年。無言で行くのもあれかなと思い「事故ですか?」と声をかけると「ちょっと自分で失敗しちゃって」と返答がきたのでこれ以上は聞かないほうが良いかなと思い話題を変え適当に雑談しながら歩いた。彼は途中何度か立ち止まり辛そうな表情を見せた。体力を相当使うのだろうなと分かった。行き先の会社に着くと彼は少し息苦しそうだった。無理させちゃったな。。。 雨に濡れることだけを心配していたが良い事をしたんだか悪い事をしたんだか少し分からなくなったが最後に彼が「ありがとうございました!」と笑顔を見せてくれた。
僕はやっぱり遅刻した。
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