| 戦争する国は、極度に緊張するものだ。そのことを、今度のハワイ行きでも痛感しました。 まず成田で、出国の際にパスポートを提示するのは当然として、中華航空でしたが、飛行機に乗り込むときにもパスポートで顔の照合が行われました。ホノルルで、入国審査でも本人確認などが行われるのは当然としても、通関申告の場所で、グラマーな黒人女性は、パスポートを1ページ毎に丹念に調べて、「ブラジルに行っているんですね。何年に行きましたか」と聞きます。「うーん、ずいぶんと面白い国々に行っているんですね。レバノンですかあ。ヨルダンでは何がありましたか」といった調子です。私の後ろには長蛇の列です。
帰国するとき、身につけている金属はすべて外させられました。ベルトもです。そして驚いたことに、全員靴を脱がせ、裸足で金属探知装置のゲートをくぐらせました。こんなことは初めてです。昨年、カナダ、アメリカで2回靴を脱がされましたが、人を選んで、その場で靴を調べたのですが、今回は全員が靴を脱がされ、その靴はX線を通し、本人は数メートルはだしで歩かされたのです。
戦時においては、敵がどのような方法で潜入してくるかもしれない、と国自体がおびえているのです。時として憎悪をむき出しにします。
以前にも、その経験があります。イスラエルに入国するときです。エジプトのカイロ経由、ヨルダンのアンマン経由でした。レバノンは、まさに戦争していましたから、ベイルートからカイロ経由でテルアビブに入らなければなりませんでした。 イスラエルは、アラブ国に取り囲まれています。第2次世界大戦後、4度にわたる中東戦争でイスラエルは領土を拡大しましたが、領土内にパレスチナをガザ地区と西岸地区に抱え込むことになったために、国内で常時戦闘がおきます。首都での爆弾攻撃は日常化しています。人々は、エルサレムのレストランで食事をするとき、爆弾テロがあったとき、どこなら死ぬ確率が低いかを考えて席取りをします。表口より奥の方が被害の確率は低いようです。国としては、外部からのいかなる敵対者も入れたくないわけですから、その分、入国審査は厳格を究めるのです。 今回のハワイでの出入国は、それに較べればずっと穏やかなものでしたが、ふと10年前のことを思い出してしまいました。
日本もアメリカに遅れをとるまじと、戦争当事国になろうとしていますが、そうなると、日本も、空港で今の何十倍も厳格な出入国をしなければならない国になるでしょう。新幹線に乗るためにも、ベルトを外したり、靴を脱がせたりしなければならなくなったら、ずいぶんと住みにくい国になるでしょうね。レストランにいても、電車に乗っても、いつテロが起きるか、おびえ続け、緊張し続ける国になってしまうのでしょうか。
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